姿勢反射障害のある方への歩行介助

介福試験対策

平成27年度第28回の介護福祉士国家試験問題より

問題47 パーキンソン病(Parkinson disease)の姿勢反射障害のある人の歩行介助として、最も適切なものを1つ選びなさい。


① 曲がり角では、勢いをつけて曲がってもらう。
② 曲がり角では、直角に曲がってもらう。
③ 一度足を引いてから歩き出してもらう。
④ 支援者のペースに合わせて歩きだしてもらう。
⑤ 階段よりスロープを歩いてもらう。

正解は③でした。

パーキンソン病を患っておられる方に対する歩行介助についてですが、基本的なこととして、視覚的なきっかけをつくる、聴覚的なきっかけをつくる、などの感覚刺激をきっかけとして、運動の開始や切り替えを促す方法はあります。その情報はネットを検索すればたくさん出てきて、イラスト付きで解説されているものが散見されます。

例えば1、2,1,2と声掛けによるリズムを差し上げても、介助者側のリズムで行っていてはうまくいかないことが多いです。

そのためには『心の準備』が出来ているかどうかが必要になります。
また、支援させてもらう側の『心の準備』も大切です。

回答の③についても、一度足を引いてから歩き出してもらうことは大切ですが、ご本人も、介助する側もいったん落ち着いてお互いに『心の準備』をしてから歩き出すことが大切です。

以下、パーキンソン病を患っておられる方の生活の工夫を記載しておきます。
病状の進行度合い、状態によっては適切、不適切なものではありますので、状況に応じてご参考下さいませ。

・布団が重く感じる場合は、軽い素材や滑りがよいシーツやパジャマなどを利用する。
・朝は特に体が動きにくくなりやすいため、指先など動く部分をストレッチしてみる。
・柔らかすぎる布団やマットレスは腰が沈んで起き上がりにくいので、固さを調節する。
・石鹸を泡立てにくい時は液体洗剤が泡となるボトルを使用してみる。
・お箸を使いやすくする補助具があり、滑り落ちにくい素材のお箸、つまみやすい自助具のお箸を試してみる。
・飲み込みにくい時は、固形物と液体を分けて飲み込んでみる。
・飲み物でむせる場合は、とろみ剤などでとろみをつけて調節してみる。
・パン、うす揚げなどのどに貼り付きやすい食材は注意が必要。また、固い肉、お餅などは喉を通りにくいので特に注意が必要。
・薬の管理はカレンダーを活用してみる。飲んだことが確認でき飲み忘れも防げる。薬局などに売っている。
・お薬を飲んでどのくらいの時間で体が動きやすくなるかをパターンとして記録しておくと良い。お医者さんを受診する際にはお薬調整の参考にしてもらえる。
・受診する前日に、良くなっているところ、悪くなっているところをメモにしておくと、お医者さんに慌てず伝えやすくなる。
・歩き始める時や、方向転換するところの床に、足形など目印を貼り付けておくと踏み出しやすくなる場合がある。
・ベッドの手前などで足がすくんで止まってしまう場合は、足形など目印をつけると、足が出やすくなる場合がある。
・家の中の家具は、方向転換が少なくなるよう、足元に物が無いよう、家具の配置などを工夫する。
・長い時間座ったままにならないように、テレビを見るときはコマーシャルの度にストレッチするなどをしてみる。
・トイレの床は何もないほうが良い。スリッパやマットは転倒の原因となる可能性がある。
・トイレのドアは引き戸より、スライド式にすることで転倒を防げる。
・便秘になると薬の吸収が不安定なり易くなる可能性があるので、きちんと排便できるように、食生活を工夫して便秘にならないようにすることも大切になる。
・あわててトイレに行って転倒しないよう、時間を決めるなどして定期的にトイレへ行くようにしてみる。特に夜中にトイレに行く際は、少しだけ体をストレッチして動かしてから、行くようにする。
・寝る前や布団の中で体を軽くストレッチをして体をほぐすしてから眠るとよい。
・前傾姿勢になっている方にとっては、枕の位置などを調整つして眠りやすい環境を工夫する。

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